あなたが現在見ているのは 僕の居場所

僕の居場所

ベンチにいない監督

今年結成した我がチームも、7戦ほど試合を重ねたところで、自分を分析し思うのは
「ほぼベンチの横に立っている」である。

理由はシンプルで、次の打席に向けて準備をしたり、暑い中プレーを終えて休憩する選手、スコアをつけているマネージャーこと我が末娘、「ボール拾いを西尾一速いスピードでしてくれる81歳」の異名を持つ、背番号81番の義父。
みなさんを差し置いて、座るベンチがどこにあろうか、いや無い。(反語)

スターティングメンバーをコーチが決め、試合前の指導をコーチが行い、メンバー表を娘が書き、選手交代の判断はコーチが行い、ボール拾いは「西尾一速い・・・(略)」が行い、選手が足りない場合の穴埋めはおやじスターズの面々が、声援はサポーターの皆さんがむかし黄色だった声を出してくれて、そして試合終了。
僕の役目は試合前にじゃんけんをして、「せんこーで~す」または「こーこーで~す」裏返りそうな声で言うことだけ。

だから、ベンチの外に居るのである。

親戚が集まる日の父の風景

正月や夏休みなど、実家に親戚一同が集まり食事をしている時、僕の父は必ず少し離れたところに座る。彼は好きなものをみんなに心ゆくまで食べてもらい、それを見ているのが良く、余ったものを後で食べるからいいというポリシーで生きている。みんなが食べ終わると、コンソメパンチ、アーモンドチョコ、名も知らぬせんべいなど満腹の人びとの前にカロリー爆弾を投下してくる。アイス、ジュース爆弾も投下してくる。横になろうとする人の頭が床に接するすれすれに、枕を差し込んでくる。そして僕はその奥義を受け継いだ男なのである。何だかちょっと離れたところで、みんなが楽しそうにしているのを見ている方が落ち着くのだ。
室内練習場でチームの合同練習をしていても、すみっちょで見ているのが楽しい。なんと贅沢な時間だろうと思いながら、みんなが楽しそうにしている笑顔を、うすら笑いを浮かべながら見ている。そう、キモいのである。試合後、ヘルメットやキャッチャー道具を夕暮れに一人拭いている時も楽しいのだ。

そんな性格が、あえてベンチ横を欲しているのだと思う。

人には居場所が必要

一番最初に思いを述べたHOMEBASE Projectにも書いたが、人間とって最終的に大切なのは、金でも名誉でもなく居場所だと思っている。役に立っている実感があり、必要とされていることを感じられることが幸せの最終到達地点だと思う。僕は、このプロジェクトに関わってくれているすべての方々を必要としており、選手、サポーターに限らず、居てくれないと困ってしまう。

僕の居たい場所はベンチ横なんだと、秋の空を眺めて思ふ今日この頃。