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人を動かすということ

「おみやげはスイカ」のあらすじ

ある暑い夏の日、カツオは無性にスイカが食べたくなります。
しかし、サザエやフネに普通におねだりしても、却下されるに決まっています。
そこでカツオは、波平の所に向かいます。

カツオは波平に、
「お父さんって若い頃、スイカ割りが得意だったんでしょ?」
「お父さんの見事なスイカ割り、僕も一度見てみたいなあ」
などと、波平のプライドと男心をくすぐる質問を投げかけます。

息子に言われて波平は、「ふん、昔は一発で仕留めたものだ」
などと威張って見せ、すっかり良い気分になります。

次の日の仕事帰り、八百屋の前を通った波平はスイカを見つけます。
波平は思わず大きなスイカを衝動買いしてしまいます。

重いスイカを嬉しそうに抱えて帰宅した波平。
その後、庭で波平が張り切ってスイカ割りを披露し、
カツオは当初の目的を達成するというお話です。

アリストテレスの弁論術

古代ギリシャの哲学者アリストテレスが
著書『弁論術』の中で
以下の3つが、人を説得するための要素だと提唱しました。
エトス(Ethos)
ロゴス(Logos)
パトス(Pathos)
これにカツオの行動を当てはめてみます。

エトス ・・・ 話し手の人柄、信頼性、専門性

ヒトは信頼感が無ければ話を聞きません。
カツオは波平を父として尊敬しており、
お父さんならスイカ割りを上手にできるに違いないと
思っている事を伝えます。
その時点で波平は心を開いており、
話を聞く体制にさせています。

ロゴス ・・・ 言葉、論理、理性、客観的なデータ

「スイカ割りをすることで、息子から尊敬され父親としての権威の保持できる」
カツオはこれを具体的に想起させるロジック(論理的道筋)を見事に表現します。

パトス ・・・ パトスはパッションの語源です

元来、パッション(情熱)とは降りかかる困難や問題を乗り越えるエネルギーです。
成功した時の達成感 ⇒ 息子からの尊敬の眼差し ⇒ 湧き上がる高揚感 
スイカ割りをやりたい!!
波平の中のパッションが完全に刺激されています。

カツオの弁論術

この話の凄いところは、カツオは一度も「スイカを買って」と言っていないことです。
でも当初の目的を見事に達成し、カツオはスイカを食べているのです。

波平はスイカを買わされたとは全く思っていないでしょう。
自らの意思でスイカを購入し、
スイカ割りを披露し、
みんなでスイカを食べる

波平は心から満足したに違いありません。

一番大切なのは

人の心を動かすには、信頼、論理、共感・感情が揃っていなければいけません。
しかし、その中でも一番大切なのは
エトス=信頼感です。
どんなにテクニックを磨いても
それだけでは人の心は動きません。
「あなたが言うならそれでいいよ」
と言われるような誠実さを持っていることが
何より大切だと思います。
日常生活、仕事、いかなる場面でも当てはまると思います。

「来週は予定があるけど、試合があるなら行くわ」
と言ってもらえるような
そんな男になりたい今日このごろです。