少年野球チーム代表のオファー
僕の住んでいる町内に、息子と娘がお世話になった少年野球チーム、矢田スターズがあります。歴史あるそのチームはこの春卒団する選手が第37期生です。そんな西尾で3番目に古い歴史を持つチームの代表を30年以上に渡って務められた方が、この度引退を発表されました。
そんなある日、僕のもとへ1通のLINEが。娘が矢田スターズ時代お世話になった監督さんで、現在も矢田スターズでコーチをされている方(自分の子供もいないのに善意でやってるマジリスペクトな人)からで、次の代表候補が決まらず困っておられたようで、僕に代表をやってくれないかという打診でした。寝耳に水をぶっかけられるくらいビックリです!脇役として人生を歩んできた自分に、伝統あるチームの代表などありえない!ということで、その時はお断りさせていただきました。
そんなこんなでまたある日、今度は息子が矢田スターズ時代お世話になった監督さんで、現在も矢田スターズでコーチをされている方(自分の子供もいないのに善意でやってるマジリスペクトな人2)から。しかも今度は直接電話です。着信通知を見た瞬間、内容はわかります。お世話になっている方だし何と断ればいいか・・・
天才的セールスマン

最近僕が読んでいる本は「脳科学セールス」というタイトルで、人間が物事を決定するのは大脳新皮質ではなく、大脳辺縁系(いわゆる原始的な脳)の部分だということで、セールストークには順番が重要なんだそうです。
ちょっと高いけどいい自転車を買ってサイクリングに行こう!景色はきれいだし、健康的だし、環境にも優しく心は穏やかでいい事ばかりだ!と思って購入したと思っていても、実は自転車が欲しいという本能的な部分がまず原始脳で発動して、その後高いのに買っちゃったことに対して、あーだこーだ理屈を考えているだけなんだそうです。
なので、突然セールスマンに商品の性能をつらつらと説明されても、心の扉が開いていなければ、購買意欲がわかず、購買という行動には移りません。
皆さんもご存じの通販大手の社長さんは、声にF分の1の揺らぎがあるからだけではなく、感情的な部分に直接訴えかけるストーリーを話すことでグッと視聴者を引き込み、販売数を増やしていったそうです。スティーブジョブズも同じです。いつものスタイリッシュないで立ちでステージに立ち、「今話した事が出来るようになったら夢のようじゃないか?実はすべてを解消する答えがこのポケットに入っているんだぜ!と言いながらiPhoneをおもむろに取り出す。
脳が生理的に嫌だな、避けたいなと思うことをポッケから出てきた小さくておしゃれなものが解消してくれる!その瞬間、脳内は買いたい汁で溢れているのです。
話がそれましたが、息子の監督さんの話です。その方は僕よりだいぶ先輩で、もし知らなくて町で会ったら100%目線をそらす感じの迫力の持ち主です。声がでかくて情に厚く口下手で、ガラが悪くて昭和生まれと言えば、おおよそのイメージは付くかと思います。その方は決して上手ではない語り口ながら、まず最近の状況を僕に話しました。「俺はまだ子供たち相手にバッティングピッチャーやってるよ!」と10年前の情景を思い出させる内容です。「最近は年だし、体力的にも辛いし、仕事も夜勤があるからきつくてね!でも、俺は矢田という町に恩があるし、チームに対する愛情があるからやってるんだ」とおっしゃるのです。僕の原始脳はガンガン刺激を受け始めます。
男気の話は僕の脳をわしづかみにします。その時点で僕は、どうやりくりしたら代表を受けられるだろう・・・と考え始めていたのです。
人を動かす
こうして僕は、本の中に書かれていることを実体験しました。代表を受けようと揺れ動く気持ちを感じながらも考えます。冷静に考えれば今から野球チームを作り、室内練習場を運営しようとしているサラリーマンの僕にはやはり難しいのです。それにそんな器じゃないじゃん。しかし大脳新皮質で考えても、原始脳を男気ロックがガッチリ固めていて、全盛期のアントニオ猪木の卍固め並みに決まっています。恐る恐る奥さんに話したところ、超冷静な分析と共に「無理でしょう」と言われ、、、そりゃそうですよね。その通りなんです。つづく
